2008年5月22日木曜日

サンソン・フランソワ

サンソン・フランソワ(Samson François ,1924年5月18日、フランクフルト・アム・マイン - 1970年10月22日、パリ)は、第二次世界大戦後のフランスにおける代表的なピアニストの一人である。主に、ショパンやドビュッシー、ラヴェルの演奏を得意とした。


フランス人の両親の間に生まれる。5歳でピアノを始め、早くから天才といわれた。1934年、一家でニースに戻った時、アルフレッド・コルトーに見出されて1936年にエコールノルマル音楽院に入学、1938年、パリ音楽院に入学後はマルグリット・ロン、イヴォンヌ・ルフェビュールに師事。その後1940年に音楽院を首席で卒業。

1943年には第1回目のロン=ティボー国際コンクールで優勝。その後1947年にアメリカデビューを飾り、その後も各地で演奏活動を行う。

ドビュッシーのピアノ作品全集を完了する直前、心臓発作のため急逝。46歳の若さだった。亡くなった日(以後)も、レコーディングの予定が組まれていた。

フランソワはロンの最後の生徒の一人であったが、彼の態度は少し他とは一線を画すいたずらっ子のような様相を呈していた(従順ではなかった)ため、ロンも手を焼いたという。



フランソワの特徴は、ムラ気なことであった。気分が乗らないときの演奏は、呂律が回らないほどであり、気分の良し悪しによる演奏の出来栄えの差が大きかった。

フランソワは、酒を愛した人でもあった。また、性格的にも非常に古い芸術家タイプの人間であったので、無機質ですべてが決められたとおりに動くような現代社会において異彩を放つ人でもあった(事実、彼を19世紀のピアニストの生き残り、と評する人もいる)。

日本には3回来日歴あり。来日するたびに酔漢の風貌へ変わっていったと言われる。

デビュー直後は好きと決めた作品なら徹底的に勉強した。「ベートーヴェンは生理的に嫌で受け付けない。モーツァルトなら受け入れてやっても良い」などの発言も残っている。

本人は作曲家としての才能もあると自認していたのか、ピアノ独奏作品「黒ミサ」やピアノ協奏曲を残しており、ピアノ協奏曲には録音もある。しかしながら、ピアノ協奏曲の録音では、張り切っているのはフランソワただ一人であり、共演のオケと指揮は意味不明な音楽に引きずりまわされるという、なんとも19世紀的な我侭を披露した。


フランソワの演奏は独特なもので他の演奏家とは一線を画す場合が多い。また非常に個性的であるため、ピアノを演奏をする人の範とはなり難い。それでも、この独特の演奏は文化的価値の高いものであるため、何度も回を重ねてCDが発売されている。



ラヴェル:ピアノ協奏曲ラヴェル:ピアノ協奏曲
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2004-12-08



フランソワ、ピアノと戯れる 2008-05-01
解釈するという言葉より「演奏する(or 遊ぶ)」という言葉を好んだフランソワらしい演奏。まさに、この瞬間に曲が生まれているかのような新鮮さに溢れています。特にト長調の協奏曲は天性のリズム感が冴えわたり、彼の思いのまま自由自在に指が鍵盤を駆け巡る妙技に惚れ惚れします。左手の協奏曲も素晴らしい!感情を表に出すのを嫌ったラヴェルの心の叫びが、フランソワの指を通じて激しく噴出しているかのような錯覚にとらわれます。


さらに詳しい情報はコチラ≫





ドビュッシー:ピアノ集(3)ドビュッシー:ピアノ集(3)
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2003-07-24



煌く才能、輝くドビュッシー 2004-05-10
比較的なじみやすい、またテクニック的にもそれほどあくせくしなくて
弾けてしまう子供の領分、ベルガマスク。しかしフランソワは真摯に、
そして奔放に自分の感性をちりばめた演奏を披露してくれます。
(あのミケランジェリでもベルガマスクは残してくれなかった。それだけでも
フランソワは偉い!)
ただ、声楽や弦楽器で良い印象をもつART盤も、ピアノに関しては?たしかに音が前に出るようにはなり、
ノイズレベルも低下したが、同時に残響、倍音の大切なエッセンスが消えてしまったようで残念。


さらに詳しい情報はコチラ≫




ラヴェル:ピアノ曲全集 第2集ラヴェル:ピアノ曲全集 第2集
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2006-08-23




さらに詳しい情報はコチラ≫





ドビュッシー:ピアノ曲集第2集~映像、他ドビュッシー:ピアノ曲集第2集~映像、他
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2007-11-21




さらに詳しい情報はコチラ≫





ラヴェル:ピアノ全集(1)ラヴェル:ピアノ全集(1)
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2003-07-24



『鏡』を聴いてみて下さい 2005-04-14
もちろん水の戯れも良いしその他の曲も良いです。たっぷりの響かせ、たっぷりと歌ったラヴェルです。ピアニッシモはかすれず、フォルティッシモは破れない、こういうのをたっぷりとした響きである、と教えられます。フランソワのスケールの大きさに涙するばかりです。
 1960年代前半で、フランソワの体調がおかしくなる前の録音なので、テクニックにも破綻がないように思われます。厳密な意味で、というより、あら捜しすればそれはわかりませんが、私にはフランソワに関してはそういうことは不必要だと思っています。
 全集の1では、あえて『鏡』をお勧めいたします。第一曲『蛾』の第一音のなんと丁寧な響きでそのまま引き込んでくれることか。ギーゼキングのさらさらしすぎた弾き方とは違います。『道化師の朝の歌』では、三連符のところではテンポを動かしてはいますが、それが却ってせかせかしない動きというものを表現していて、これもフランソワの世界に引き込まれてしまいます。その他、聴き所はいっぱいあります。
 ただし、いくつかあるフランソワ名物の内の一つ、譜読みの間違いは第一曲にも健在でした。再現部の約11小節くらい前の小節で、左手AS-ASの八分音符の分散オクターブを、その一オクターブ半上のF-Fと弾いているのです。どうやら、ヘ音記号を見落としたのかな??さもなければ、フランソワの使用楽譜にはト音記号のままだったのか、それとも、「作曲家」フランソワの感興がそのように弾いてしまったのか、謎です。この点を赦せない方は、この演奏の評価は低く見積もると思います。私はこのことで、曲の流れを阻害されませんでした。だから星が5つになってしまうのです。
 フランソワの幻想の世界をお楽しみください。



さらに詳しい情報はコチラ≫






ショパン:別れの曲(ピアノ名曲集)ショパン:別れの曲(ピアノ名曲集)
フランソワ(サンソン)
TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
発売日 2007-06-20




さらに詳しい情報はコチラ≫






ラヴェル:ピアノ曲全集 第1集ラヴェル:ピアノ曲全集 第1集
フランソワ(サンソン)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2006-08-23




さらに詳しい情報はコチラ≫


0 件のコメント: