2008年4月8日火曜日

スヴャトスラフ・リヒテル

スビャトスラフ・リヒテル(Святосла́в Теофи́лович Ри́хтер、Sviatoslav Teofilovich Richter、1915年3月20日 - 1997年8月1日)は旧ソヴィエトを代表するピアノ奏者のひとり。ドイツ人を父にウクライナで生まれたが、主にロシアで活躍(ただし在留ドイツ人として扱われた)。その卓越した演奏技術から20世紀最大のピアニストと呼ばれた。



リヒテルは、ピアニストの両親のもとにウクライナで生まれた。独学でピアノをマスターした後、オデッサ歌劇場で働き始める。22歳になってからモスクワ音楽院に進み、本格的にピアノを勉強し始めた。そのとき、彼の教師ゲンリフ・ネイガウスは「何も教えることがなかった。」という言葉を残している。

30代になってからピアニストとして遅咲きのデビュー。そのインパクトは大きく、冷戦で対立していた西側諸国でも「鉄のカーテンの向こうに恐ろしいほどのピアニストがいる」とささやかれるほどだった。死後に残されたプライベートレコーディングの中には超絶技巧を要することで知られるショパンの練習曲の作品10の4のビデオが残されているが、全曲を1分32秒で演奏しており、恐らくはこの作品の最高速演奏と言われている。しかもその演奏はエキセントリックなムードに終わってはいないのである。

超絶技巧を要求する曲を難なく弾きこなすリヒテルの手は大変巨大であり、12度程度を楽に押せたという。加えて、リヒテルはピアニストの中でも大変な練習魔として知られていた。ある者が弟子にしてくれと彼に頼み込んだのに対し、「何か教えることがあるのだとすれば、それは自分に対してなので」との理由で断ったり、なぜ指揮をやらないのかと問われた際に、「ピアノを弾く時間が減ってしまうので」と答え、年老いて、かつてのような指捌きができない悔しさに泣き出した等のエピソードが残っている。

リヒテルは、音楽以外にも数々の芸術に優れていた。特に絵画はプロ並みの腕前をもち、演奏旅行で印象に残った風景を、後に寸分の狂いも無くキャンパス上に再現したといわれる。文学者のパステルナークとは大変に親しい友人であり、パステルナークが音楽家への道を断念したのは「スクリャービンとリヒテルの才能の大きさを目の当たりにしたから」である。

リヒテルが愛用したピアノはヤマハだった。彼は、「柔軟で感受性が鋭く、特にピアニシモが非常に美しい。私の表現したい心の感度を歌ってくれる」と語っている。(このコメントは本当にリヒテルの本心から生まれた発言なのかは今でも外資ピアノ関係者の間で意見が分かれている。)NHKのドキュメンタリー番組プロジェクトXでも以前取り上げられた。

このいきさつには彼の演奏メソッドにも関っている。彼のピアノ奏法に上部雑音が多く(全盛期の演奏では録音ですら確認できる)、それを軽減してくれる最良のメーカーがヤマハだったからと言われる。彼は通常の鍵盤から離れて打つロシアン・メソッドの他に、腕力で鍵盤を強く圧する独特の癖があり、この癖にヤマハのピアノが良く耐えたからとも言われている。実際、当時の演奏写真でも手首をかなり下げて圧力をかけている様が確認できる。

晩年はグリーグの抒情小曲集のみでリサイタルを行うなど、既成のコンサートマナーへの挑戦的な態度は最後まで持続し、技巧の衰えを豊かなタッチで補いつづけていた。「ロシア三大ピアニストは、リヒテル、ギレリス、そしてペトロフだ」という評価は未だに揺るいでいない。この三人以上の技術を持つロシアのピアニストは増えたにもかかわらず、真の後継者は未だに現れてはいない。



1915年3月20日 スビャトスラフ・リヒテル、ウクライナに生まれる
1931年(16歳) オデッサ歌劇場のピアノ伴奏者になる
1934年(19歳) オデッサで初リサイタルを催す
1937年(22歳) モスクワ音楽院入学
1940年11月26日(25歳) モスクワ音楽院小ホールでプロコフィエフのピアノソナタ第6番を初演、リヒテル伝説が生まれる
1942年7月5日(27歳) リヒテルのデビュー演奏会が開かれる
1945年(30歳) 全ソビエト音楽コンクールピアノ部門で第1位受賞
1950年(35歳) 初の国外演奏旅行へ出かける
1953年(38歳) スターリンの葬式で演奏
1958年(43歳) ソフィア(ブルガリアの首都)で行ったコンサートの「展覧会の絵」が西側でもレコードとして発売される。ソフィア・ライブとして知られる名演奏
1960年(45歳) 西側へデビュー
1970年(55歳) 日本初公演
1997年(82歳) モスクワで死去



Richter plays Chopin Revolutionary Etude



Sviatoslav Richter plays Chopin Ballade No. 1, Op. 23



Sviatoslav Richter plays Chopin Etude op.25 no.5



Richter plays Rachmaninoff



Sviatoslav Richter plays Bach



Richter plays Prokofiev



Sonate Nº 23 op 57 "Appassionata" played by Richter



Sviatoslav Richter plays Chopin Scherzo no. 2 Op. 31





ソフィア・リサイタルソフィア・リサイタル
リヒテル(スヴャトスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日 2007-09-26



歴史的録音なので、音質(モノラル)に多少難ありですがそれを打ち破る演奏 2008-02-28

この展覧会の絵の演奏はすごい。
録音が古いため、音質はFMラジオ以下ですが、それを打ち破る美しい演奏。

歴史的名演とは、こういうものを言うんだろうなと思いました。



バーバ・ヤーガの小屋→キエフの大門の豪放磊落な演奏・ ショパンの別れの曲の美しい響き。
これを同じライブで同じピアノで出せるのは、やはりリヒテルさんしかいないのでしょう。


リストの超絶技巧練習曲 鬼火も、かるーーく引いているような感じで、 いかにリヒテルがすごい人だったのか、これを聞いただけでもわかります。


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ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番&31番&32番ベートーヴェン:ピアノソナタ第30番&31番&32番
リヒテル(スヴャトスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日 2007-09-26




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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番
リヒテル(スビャトスラフ)
EMIミュージック・ジャパン
発売日 2004-06-23




今でも頂点に君臨するテンペスト 2007-11-16


“リヒテルのテンペスト”は、LPの時代から大好きで何度も聴いてきました。
終始息を潜めて聴かなければならないほどの 高い緊張感に包まれた神秘的な演奏だと思います。

今ではポリーニによるさらにスタイリッシュな録音も聴くこともでき、 比較するとこちらは多少野暮ったく感じられてしまいますが、 この録音の絶対的存在価値が下がることはあり得ません。


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チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調
リヒテル(スヴャトスラフ)
ユニバーサル ミュージック クラシック
発売日 2001-10-24




2007-11-02
リヒテルのラフマニのコンチェルトは特にお勧めしたいです。
そのパワフルな演奏にはまだ余裕すら感じられる。

聴き終わった後に感動が覚めず、また何度でも聴き返してしまう。
この曲に関しては歴代最高ではないでしょうか?


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Sviatoslav Richter Chopin Etude Op. 25 n. 2 London 1989

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